私たちの体は多くの種類のタンパク質から成り立っています。それらのタンパク質がいつ、どこで、どれくらい必要かを認識し作る場所、それが細胞です。細胞内には、タンパク質を作るためのレシピ本があり、DNAと呼ばれています。そのDNAから必要に応じたページがコピーされ、日々新しいタンパク質を作っています。そのページからコピーされたものをRNAと呼びます。そのRNAを体の細胞の中から採取、解析することにより、体内でどんな性格のタンパク質がどのくらい作られているのかがわかります。
マイクロアレイ遺伝子発現解析
同時に約2万個の遺伝子を網羅的に調査
DNA・RNA・タンパク質の相関(遺伝子発現)
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・デオキシリボ核酸
・アデニン、シトシン、グアニン、チミンの4種の塩基からなる。
・基本的に二本鎖として存在する。
・基本的に細胞内で情報(配列)・量(コピー数)は変化しない。 -
・リボ核酸
・アデニン、シトシン、グアニン、ウラシルの4種の塩基からなる。
・基本的に一本鎖として存在する。
・細胞間で種類(遺伝子)・量(コピー数)が変化する。 -
・20種類のアミノ酸からなる。
・さらに修飾を受けて生理活性を獲得。
・細胞間で種類(遺伝子)・量(コピー数)が変化する。
しかし、無数にあるRNAを一つ一つ調べるには膨大な時間と労力が掛かるため効率性の高いマイクロアレイを使用します。コンピューターに使われているマイクロチップは一つの基盤にたくさんの電子部品から成り立っています。それと同じようにマイクロアレイは、一つの基盤に、性格が判明されたたくさんのRNAの相補鎖が固定されていて、そこに体の中で作られたRNAだけが付くことになり、外部からの刺激(食事など)によって環境が変わった場合、細胞にどのような影響が見られるのかを一度に多くの遺伝子を使って調べることができます。
マイクロアレイの特徴
マイクロアレイは、多くの違った機能の遺伝子群を一度に調べることが可能で、心臓や筋肉、肝臓、脳など、どの臓器に対し一番効果的に作用しているのか明らかにします。また、一次スクリーニングの検査として、機能性食品審査前に予測データを取ることができるため、以下のような健康食品会社様や、大学・研究機関の皆さまにおすすめします。
- 栄養など食品に関する
効果を知りたい。 - 薬剤の影響や効果を調べたい。
また、どの臓器で影響や効果があるかを
臓器別で調べてみたい。 - 植物に肥料や栄養剤を与えて
その効果を知りたい。 - 現在行っている実験や研究で
どんな機能をもつ遺伝子が
多く発現しているかを知りたい。 - 疾患と健常の血液や
細胞、臓器の違いを調べて
疾患の特徴を知りたい。 - 疾患に関わる遺伝子群の中から
その疾患に関わる遺伝子マーカーを見つけて
特異的なタンパク質を同定したい。
マイクロアレイが導く長寿への道
私たちが既に実施したマイクロアレイ遺伝子発現解析により、マウスの骨格筋を用いたマイクロアレイの遺伝子発現解析で、カロリー制限食が老化によるダメージの進行を抑えていることがわかりました。そこでジェネスティア株式会社では、カロリー制限食マウスの遺伝子マーカーを基準にした、健康補助食品摂取マウスの抗老化作用効果の評価を行うことにより、クライアント様と共に生活習慣病のない健康長寿社会を目指します。
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〈カロリー制限したマウスと、
制限なしのマウスの寿命〉 -
〈カロリー制限食が老化による
ダメージの進行を抑える〉
マウスを含めた小動物やハエなどの昆虫を使った実験では必須アミノ酸やビタミン、ミネラルの割合は変えずに、1日あたり決まったカロリーを取るコントロール食群に比べてカロリーを70%まで減らした食事を取ったカロリー制限食群は、およそ2倍以上も長生きすることがわかっています。しかもカロリー制限食群は、糖尿病や癌の発症率が少ないことが明らかになっています。それに対し、ヒトの臨床試験やヒトに遺伝的に近いアカゲザルの実験では、個体差が大きくカロリー制限食群がコントロール食群に比べて優位に健康であることがわかっていても、寿命が延びるかははっきりとわかっていません。ただこれらの実験から言えることはカロリー制限食は、老化を抑え寿命を延ばし、老化とは何かという疑問に答えるヒントがある可能性があるということです。
以下より抜粋
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- ○老化と抗老化を持つカロリー制限の遺伝子発現プロファイル
- Gene expression profile of aging and its retardation by caloric restriction.
Lee, C.-K., Klopp, R. G., Weindruch, R. & Prolla, T. A. (1999) Science 285, 1390–1393.
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- ○アカゲザルの骨格筋における遺伝子発現を用いた老化とカロリー制限による影響
- Influences of aging and caloric restriction on the transcriptional profile of
skeletal muscle from rhesus monkeys.
Kayo T, Allison DB, Weindruch R, et al., (2001) Proc Natl Acad Sci USA 98: 5093–5098.
マイクロアレイ遺伝子発現解析の一例
「健康活性水」がマウスの骨格筋(筋肉)に対して細胞レベルで
抗老化作用(アンチエイジング)効果を持つことがわかりました。
通常水を飲ませた加齢変化群マウスの骨格筋は、筋肉の維持に必要なタンパク質合成やエネルギー代謝、筋収縮関連の遺伝子発現が有意な低下を認めた一方、「健康活性水」群のマウスは、タンパク質合成やエネルギーや脂質代謝、筋収縮関連の遺伝子発現が有意な増加を認めました。また、カロリー制限食と同等な遺伝子機能パターンを示しました。
「健康活性水」が、骨格筋において加齢変化に関わる遺伝子変化を抑制していることから、骨格筋における抗老化作用(アンチエイジング)を有しており、骨格筋の加齢変化による機能を回復させていると言えます。
遺伝子の機能 | 加齢変化群 (通常水) |
健康活性水群 (健康活性水) |
長寿群 (カロリー制限食) |
---|---|---|---|
タンパク質合成 | |||
エネルギー代謝 | |||
脂質代謝 | |||
筋収縮タンパク調節 | |||
免疫応答 | |||
ストレス応答 |
マウスは、C57BL/6 で全て雄を用い、月齢5ヶ月から8ヶ月の3ヶ月間飼育し、各グループ5匹をマイクロアレイ解析に用いました。寿命の長いカロリー制限食(タンパクやミネラル、ビタミン含有率は他のグループと同じ割合に調整)のマウスも同じ期間飼育しました。
○ご依頼元の株式会社 チクテックの実験報告書から掲載許可済み。
「山ぶどう果汁」がマウスの心臓に対して細胞レベルで
抗老化作用(アンチエイジング)効果を持つことがわかりました。
通常水を飲ませた加齢変化群のマウスの心臓は、心臓の機能維持に必要な心血管関連調節に関わるタンパクや心筋細胞のミトコンドリア内で生産されるエネルギーの代謝、それに伴って消費される免疫・ストレスに関わる炎症関連のタンパク、心臓肥大を誘導すると思われる構造タンパクなどの遺伝子発現が有意な増加を認めた一方、「山ぶどう果汁」群は、心血管関連調節やエネルギー代謝、免疫・ストレス、構造タンパクなどの遺伝子発現が有意な減少を認めました。また、「山ぶどう果汁」群は、寿命の長いカロリー制限食と、心血管関連調節およびストレス応答以外に同等な遺伝子機能パターンを示しました。
「山ぶどう果汁」が、マウスの心臓において加齢変化に関わる遺伝子変化を抑制していることから、心臓における抗老化作用(アンチエイジング)を有しており、心臓の加齢変化による炎症や、それに伴う疲弊化や、心肥大を抑制し回復させていると言えます。
遺伝子の機能 | 加齢変化群 (通常水) |
山ぶどう果汁群 (山ぶどう果汁) |
長寿群 (カロリー制限食) |
---|---|---|---|
心血管関連 調節タンパク |
|||
エネルギー代謝 | |||
免疫応答 | |||
ストレス応答 | |||
構造タンパク |
マウスは、C57BL/6 で全て雄を用い、月齢5ヶ月から8ヶ月の3ヶ月間飼育し、各グループ5匹をマイクロアレイ解析に用いました。寿命の長いカロリー制限食(タンパクやミネラル、ビタミン含有率は他のグループと同じ割合に調整)のマウスも同じ期間飼育しました。
○ご依頼元の株式会社 山葡萄潟研究所の実験報告書から掲載許可済み。
「日本冬虫夏草(ヤハギ株)」がマウス腎臓に対して
細胞レベルで抗老化作用(アンチエイジング)効果を持つことがわかりました。
通常水を飲ませた加齢変化群のマウス腎臓は、腎臓の機能維持に必要なエネルギー代謝やタンパク合成や免疫応答などの遺伝子発現が有意な減少を認めた一方、「日本冬虫夏草(ヤハギ株)」群は、エネルギー代謝、タンパク合成や運搬、免疫応答、がん抑制などに関わる遺伝子の有意な増加を認めました。また「日本冬虫夏草(ヤハギ株)」群は、寿命の長いカロリー制限食と同等な遺伝子発現パターンを示しました。「日本冬虫夏草(ヤハギ株)」が、マウス腎臓において加齢変化に関わる免疫応答や細胞の疲弊化を抑制していることから、細胞レベルで抗老化作用を有していると思われます。
遺伝子の機能 | 加齢変化群 (通常水) |
日本冬虫夏草 (ヤハギ株)群 |
長寿群 (カロリー制限食) |
---|---|---|---|
エネルギー代謝 | |||
免疫応答 | |||
タンパク合成/運搬 | |||
がん抑制遺伝子 |
マウスは、C57BL/6 で全て雄を用い、月齢5ヶ月から8ヶ月の3ヶ月間飼育し、各グループ5匹をマイクロアレイ解析に用いました。寿命の長いカロリー制限食(タンパクやミネラル、ビタミン含有率は他のグループと同じ割合に調整)のマウスも同じ期間飼育しました。
○ご依頼元のN.M.I.自然薬食微生物研究所 株式会社ビーシー(宮城県仙台市)の実験報告書から掲載許可済み。
主に扱っている発現解析アレイ
マイクロアレイ遺伝子発現解析はt-testやfold changeを含めた比較解析を行います。クラスタリング(ヒートマップ)解析やGene Ontology解析はオプションですので、お見積もり時にご相談ください。
〈Clariom S〉
細胞や臓器に発現している、既知のタンパク質に対応した遺伝子の発現解析(アノテーション済みの遺伝子)ができます。
生物種 | アレイ名 | 遺伝子数 |
---|---|---|
ヒト | Clariom S Array,Human | 20,800 |
マウス | Clariom S Array,Mouse | 22,100 |
ラット | Clariom S Array,Rat | 22,900 |
- 1アッセイあたりの参考価格
ヒト・マウス・ラット - ¥77,000
〈Clariom D〉
既知のタンパク質に対応した遺伝子の発現だけでなく、多くのエクソンやIncRNAを含んだノンコーディングリージョンの発現を見ることができるためコストパフォーマンスにも優れています。次世代シークエンサー解析実験前の予測実験としても利用できます。
生物種 | アレイ名 | 遺伝子数 |
---|---|---|
ヒト | Clariom D Array,Human | 540,000 以上 |
マウス | Clariom D Array,Mouse | 210,000 以上 |
ラット | Clariom D Array,Rat | 490,000 以上 |
価格については
お問い合わせください
主にヒト、マウス、ラットのアレイを
扱っておりますが、
その他の生物種でもご相談ください。
○イヌ ○ネコ ○ウマ ○ブタ
○アカゲザル ○ヒツジ ○モルモット
○ウサギ ○チキン
○アフリカツメガエル ○ゼブラフィッシュ
○ショウジョウバエ ○線虫 ○大腸菌
○緑膿菌 ○マラリア原虫 ○酵母
○シロイヌナズナ ○トウモロコシ
○トマト ○大豆 ○小麦 ○ブドウ
サービスの流れ
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1.お問い合わせ
お客さまからのご相談〜打ち合わせ後、
最適な実験内容でお見積もりさせていただきます。
お見積もり内容に承諾いただきご契約となります。 -
2.書類などの提出
マウス実験の計画書を作成。
秋田大学へ申請し実験の許可をもらいます。 -
3.マウス実験
秋田大学バイオサイエンス教育研究センター
動物部門施設にて、お預かりした健康食材、
健康飲料水、サプリなどを
3ヶ月齢マウスに対し実験を開始。
5ヶ月齢になる3ヶ月間飼育し以下を行います。- 【基礎実験】
- 体重測定や飲水、食事量、血糖値、腹腔内ブドウ糖負荷試験など
- 【臓器解剖】
- 大脳、小脳、海馬、心臓、骨格筋、肝臓、腎臓、肺、皮膚など
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4.マイクロアレイ遺伝子解析実験
実験したマウスのどこの臓器(組織)に、
どのような健康遺伝子が活性しているかを調べます。- 【実験の手順】
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①Gene Chipの選択
②Total RNA抽出
③サンプルの増幅・蛍光標識
④Hybridization
⑤スキャニング、データ解析(数値化)
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5.データ納品
マウス基礎実験による体重、血糖値などの
変化を示したデータと、マイクロアレイ解析による
抗老化作用効果のデータを一式納品します。
※研究の目的によってマウスの飼育期間や飼料、飲料水の種類など飼育条件が変わります。お気軽にご相談ください。